<マーブル動物病院>


2006年08月01日号

子犬の甘咬み


■ 子犬の甘咬みは自然なことでも、一緒に暮らすためにしつけが不可欠

いつもはかわいい子犬だけど、なでたり抱きあげようとしたり、首輪をつけようとすると、人の手や足を咬む。人の手足だけでなく、家具や洗濯物など家の中にあるあらゆるものをかじるという子犬の<甘咬み>は、まず、健康な子犬であれば、犬として自然な行動で、どんな子犬にでも起こり得ることだということを理解してあげてください。子犬同士が遊んでいるのをよく観察してみてください。相手に飛びついたり、咬んだりしてじゃれあっているはずです。子犬は、こうやって、母親や兄弟と遊ぶ中で「強く咬んではいけない」ということを、体で学びとっていくのです。ところが、私たちの家に子犬を迎えいれる場合は、その子犬が生後間もなく母親や兄弟から離されてしまっていることも少なくありません。

■ 生後4から5カ月が教える時期。飼い主の反応がとても重要

犬は生後5カ月くらいになると、永久歯がはえ始め、顎の力も強くなってきます。このころが「強く咬んではいけない」ということを教える大事な時期です。子犬に、咬み加減(強く咬んではいけないということ)を教える時は、いくつかのステップに沿って進めてください。まず、第1ステップ。

ワンちゃんが近寄ってきたら、咬むおもちゃやぬいぐるみ、ロープなどを使って遊ぶようにします。ここでおそらく、きっと子犬が、おもちゃやぬいぐるみでなく、飼い主の手や足を咬むことがあると思います。この時の飼い主の反応がとても重要で動かないでジッとすること。声は出さないでください。
もしも強く咬んできたら、おおげさな態度で「イタイ!」と不愉快な表情でワンちゃんを見つめます。そして、それまで楽しく続けていた遊びを中断します。適度な時間が過ぎたら、また一緒に仲よく遊んであげてください。しばらくして、また咬むようなことがあれば、再び遊びを中断し、今度はそのまますぐ、犬から見えない別の部屋へ移動して姿を隠します。これが第2ステップです。

■ 強く咬んだら遊んでもらえないと、繰り返し繰り返し教え込む

最初のうち子犬は、飼い主の突然の変化、突然の動きの意味が理解できないでしょう。飼い主が戻ってきてまた一緒に遊び始めると、また咬んでくるかもしれません。咬んできたら、この<咬んだら隠れて遊んであげない>という行動を何度も何度も繰り返すことです。大切なのは、「強く咬んだら遊んでもらえないんだよ」ということを犬に理解させることだからです。すぐにしつけがうまくいって、あっという間に<まったく咬まなくなる>ということは難しいかもしれませんが、次第に咬む力加減も弱くなってきます。咬み加減に注意しながら咬んでくるようになったら、いよいよ最終ステップです。

子犬が咬んできたら、その力が弱く、あまり痛くなくても「イタイ!」と声をあげて、子犬のことを無視することにします。これを何度か繰り返していくうちに、最終的に、子犬は人の手足を咬まなくなります。

時間と根気が必要ですが、諦めずに何度も何度も繰り返すことが肝心です。

また<甘咬み>というより、本気で強く咬んできた場合は、口を閉じさせた状態で口の先を手でつかんで「ダメよ!」と強く言い聞かせること。「悪いことは悪い」と理解させなければしつけはうまくいきません。

■ 運動をさせてエネルギー発散

ほかのワンちゃんと遊ばせよう!!

もうひとつ、ちょっとした工夫で<甘咬み>をしなくなることがあります。それは、運動です。毎日、元気いっぱいに走らせたり、ボールなどを使って、おもいっきり遊んであげてください。エネルギーを発散させてあげることで、それで満足して甘咬みをしなくなるというケースもあります。また、人の手や足のかわりになる、咬むおもちゃ、ぬいぐるみやロープなど、子犬が楽しく咬みそうなモノを咬ませるようにします。洗濯物やタオルなど咬まれて困るものは、目の前に置かないようにすることです。

本来は、<咬んではいけない>ということを親や兄弟との遊びの中で学ぶことなので同じ年ごろのワンちゃんや、遊びが大好きなオトナのワンちゃんと遊ばせるのもテです。犬同士のコミュニケーションを学ぶことができるし、犬自身の社会性を育てることにもつながります。

注意!人間不信にてしまうことも・・・

子犬のころに、飼い主がどんなふうに接するか。それは大変重要なことで、のちのち大きな影響を与えることになります。特に、甘咬みの場合は、小さいころから、気をつけて対処しておかないと、大きくなって<咬みぐせ>という問題行動につながりかねません。ただ、「しつけは厳しく」といっても、子犬が咬んだときに体罰を加えるのは逆効果なので注意してください。いきなり殴られるとカッとくるのは人間も犬も同じです。体罰で子犬に与えた痛みは、逆に犬の攻撃性をあおってしまうことにもなりかねません。

子犬のときに、咬んだことが原因で飼い主に殴られた体験を持った犬が、咬みぐせを見せないままおとなしく成長し、ある日いきなり人を咬んで、ケガをさせるということもあります。

ワンちゃんには、常に愛情を持って接することをくれぐれも忘れないでください。

時間をかけて、根気よく!!