2003年06月16日号

「夏だ!! 暑いぞ!! 気をつけよう!!」

 賢明な読者諸氏には心当たりがないと思います。しかーし、スーパーへ買い物に行くと、いつもと言って良いほど事件に出会います。事件の現場はスーパーの「駐車場」。この時期は特に発生件数が多くなります。冬場にも事件は起こっていますが、大事件にはなりにくいものです。問題はフィラリアの予防が始まる5-6月から夏場にかけてのシーズンです。さて、どんな事件でしょう??

近くのスーパーの駐車場は三階建てで陽はあたりません。大型店舗なのでたくさんの人たちが買い物にやってきています。すると、1台か2台、多い時には何台も、駐車してある車の中にワンちゃんがいます。中には赤ちゃんが寝ていることもあってビックリします。車の中のワンちゃんは吠えている事が多いものです。飼い主さんたちはエンジンをかけっぱなしにして、エアコンをつけているようです。車内のワンちゃんは、舌を出してハァハァ(パンティング)していることが多く、息のかかる窓が曇っていることがほとんどです。「エアコンをかけっぱなしにすれば、大丈夫じゃないか。何が悪い。」とは飼い主さんの弁です。じゃぁ、「何が悪い」んでしょう?

知っておきたいこと
・ ワンちゃんは、体温を調節するのが下手クソ!!
・ 車のエアコンは、思っているほど車内温度を下げられない!!
・ エンジンをかけっぱなしにすると、地球の環境汚染が進む!!

結論:地球環境を悪化させながら、ワンちゃんを死の危険にさらしている!!

もうお分かりですよね。ここでは『熱中症』を中心に、ワンちゃんの夏場対策についてお話ししてみることにしましょう。尚、日本は北海道から沖縄までで気候が大きく違いますが、基本的な考え方は同じです。



ワンちゃんの熱中症
 熱中症は「暑い環境にさらされたり、運動によって身体の中でたくさんの熱が作られた場合に、異常に体温が上昇することによって失調状態から臓器の機能不全に発展していく連続的な病態」と定義することができます。平たく言うと、「身体の中に熱がこもっちゃって、身体がついて行けなくなる状態で、死亡することもある」とも言えます。また熱中症の方が、熱射病より広い範囲の言葉になりますので、ここでは熱中症として広い範囲で、お話しすることにします。

・ 熱中症の原因となること
1) 駐車場、置きっぱなし事件
2) 日中・夕方散歩事件
3) 日陰なし、つなぎっぱなし事件
4) 部屋の中、締め切り事件

・ 熱中症の症状
1) 身体を触ると異常に熱い
2) 呼吸が異常に速く、浅くなる
3) 異常にヨダレが出る
4) 意識が朦朧(もうろう)としてフラフラしてる、または立てない
5) ヒドイ場合には意識がなく、呼んでも反応しない

・ 熱中症のワンちゃんの身体の中
1) 体温が異常に高くなっている(41-43度)
2) 体温が上がると身体を構成しているタンパク質が変化する(卵をゆでると元に戻らないのと一緒)
3) 脱水が進むと、サラサラの血液がネバネバになって流れにくくなる
4) 流れにくくなった血液は、色々なところで血栓(血管の中で血が固まっちゃう)を作る
5) 血液が流れにくくなるので、循環が悪くなる
6) 1)-5)が起きることから、脳がダメージを受けて意識が朦朧(もうろう)となる
7) 腎臓の機能が障害されて、急性腎不全になる

・ 熱中症の「やらねば」救急処置
 不幸にもあなたのワンちゃんが熱中症で倒れてしまった場合、「あぁ、やってしまった。」と青ざめて放心状態になっているヒマはありません。飼っているワンちゃんが熱中症になった場合、ほとんどの飼い主さんは心当たりが一瞬にして脳裏をよぎり、ワンちゃんを触ると「異常に熱い」ことで確認できます。そこで一番大切なのは、何をさしおいても、まず「冷静になること」です。素早く対応することが大切なのは分かっていますが、飼い主さんがパニックに陥って、「してはいけないこと」を「しない」ように冷静になることです。
 まず冷静になったら・・・
1) 目で見て、呼吸していることを確認します
2) ビショビショに濡れたタオルをワンちゃんの身体にかけます
3) すぐにタオルは暖まりますから、ドンドン水をかけて下さい
4) 扇風機があれば、風を当ててあげて下さい
5) 水を飲むようでしたら、少しずつ飲ませて下さい(大量の水を一気に飲ませないように)
6) できるだけ早く掛かり付け、または近所の動物病院に連絡して指示を仰ぎます
7) 家庭でできる応急手当だけでは十分でないことが多いので、動物病院へ連れて行きます

・ 熱中症の予防
1) 駐車場、置きっぱなし事件の予防法
エアコンをかけていても、車内にワンちゃんを残して買い物に行かない。
 最初に書いた理由から、止めた方が良いと思います。それから「ちょっと5分買い物」と思っても、買い物に熱中してしまうと、あっという間に1時間過ぎてしまうことをお忘れなく。
2) 日中・夕方散歩事件の予防法
夕方涼しいと感じるのは、高いところ。地面の近くはまだ昼間。
 「夕涼み」と言う言葉があるように「夕方=涼しい」と感じるかも知れません。それは人間の話であって、地面から近いところを裸足で歩いているワンちゃんは、地面からの放射熱で結構熱い環境にいることをお忘れなく。散歩は朝方か、夜が良いと思います。夜散歩させる場合には、掛かり付けの動物病院の診療時間チェックもしておけば、何かあった時に安心です。もちろん日中の散歩はやめましょう。ワンちゃんのパッドだってヤケドします。
3) 日陰なし、つなぎっぱなし事件の予防法
 風通しの良い、涼しいところに避難できるような対策が必要です。それから飲み水は絶対に切らさないようにした方が良いでしょう。余りにも暑くて風のない日は扇風機を使ってあげるとか、風通しを良くした玄関先などにつないであげましょう。
4) 部屋の中、締め切り事件の予防法
  室内のワンちゃんたちと言えど、エアコンをかけずに締め切った室内で夏場を過ごすのは大変です。すこし高めの温度(26度とか27度)で構いませんから、締め切って出かける時にはエアコンをつけてあげましょう。そうだ、エアコンは完全に密閉された空間では十分に冷房できないそうですから、家にいる時に冷えるかどうか確認しておきましょう。

・ 熱中症の落とし穴
1) 軽い熱中症だった。家で冷やしてあげたら治ったみたい。
  できれば動物病院で身体検査、血液検査等を受けましょう。一見、治ったように見えても身体の中で重大な障害を起こし始めていることがあります。こう言う場合には、後から障害が出てくることもあります。
2) 一緒に抱っこして、エアコンもかけて、窓も開けて車に乗るから平気。
  本当に大丈夫ですか? 車嫌いのワンちゃんは乗るだけで興奮して体温が上がります。どーしても乗せたい場合には細心の注意が必要です。また安心のために、冷やしたタオル等を持って行くことをお勧めします。
3) 夏休み、お子さんがお手伝いでワンちゃんの散歩。
  どうも見ていますと、お子さんが夏休みのお手伝いで散歩させる時間が、日中や夕方の早い時間の様な気がします。ワンちゃんの事を考えて、「なぜ日中や夕方散歩しない方が良いか」お子さんに教えてあげて下さいね。ありゃ、ひょっとするとお父さんにも。。。
4) 氷水にジャボーン、これが一番冷えるのさ。
  熱中症のワンちゃんは、体温調節中枢(たいおんちょうせつちゅうすう:体温を調節する大元)が、うまく機能しなくなっている場合が多いので、急激に冷やすと逆効果のことがあります。徐々に体温を下げるようにして下さい。家庭ですべてやろうと思わずに、動物病院へ行くことを考えられた方が良いと思います。
では楽しい夏を!!

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