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ジメジメジメジメ。。。梅雨シーズンの到来です。ただでさえ暑いのに、毛皮を着ているワンちゃんを診ていると、ホント気の毒になります。暑いのに毛皮を着ている。。。もし人間が同じ事をすると、アセモや湿疹ができてしまうのは、簡単に想像することができますよね。この季節、ワンちゃんは皮膚病で病院に来ることが多くなります。一口に「皮膚病」と言っても、様々な皮膚病があるんですよ。今回は皮膚病について書いてみることにします。
皮膚病には、原因によって「細菌性」「真菌性」「寄生虫性」「内分泌性」「免疫介在性」「心因性」「アレルギー性」などがあります。ほとんどの場合、これらが組み合わさって起こっています。
未だに一番多く、なかなか飼い主さんに信じてもらえないのが、『ノミアレルギー性皮膚炎』です。名前の通り、ノミが引き起こすアレルギー性の皮膚炎です。一般的な症状として、『背筋に沿ってブツブツができていてカユい』『背筋の毛が薄い』『シッポの付け根をなめたり、かじったりしている』『シッポを追いかけている』などが主な症状です。
おやおや、原稿を書いていると太郎君が診察室に入ってきました。
獣医さん「おぉ、太郎!! 久しぶりだなぁ。」
飼い主さん「やぁ、先生。今日は狂犬病の注射をしてもらおうと思って。」
獣医さん「そかそか、じゃぁ狂犬病の予防注射用意す。。。ん?? んん!!」
飼い主さん「へへへ、背中がハゲてボツボツがいっぱいあるでしょ。1ヶ月くらい前からカユイみたいなんだよね(苦笑)。」
獣医さん「へぇ〜、一ヶ月も前から掻いてるんだ。。。ふ〜ん。。。(ちょっと怒ってる!?)」
飼い主さん「いや、まぁ、大したことないし。。。せ、せ、せっかくだから診てくださいよ。」
獣医さん「そうでしょう!! 診た方が良いですよね!!」
何やら獣医さんは、太郎の体中を探し始めた。突然、「ニカッ!!」と笑顔で誇らしげに言った。
獣医さん「おそらく、ノミアレルギー性皮膚炎だね。」
飼い主さん「えぇっ、たまにしかノミは見かけないんだけどねぇ。」
獣医さん「ほら、1匹見つけたよ。」
飼い主さん「だって先生、背筋にボツボツがいっぱいできてるんだよ。1匹がこんなに咬むわけないでしょ!?」
獣医さん「ざーんねん。1匹でもこうなるんだなぁ。。。」
飼い主さん「ちゃんと分かるように説明してくださいよ。」
獣医さん「タマゴにアレルギーのある人ってさぁ、タマゴと接触した口だけがカユイかなぁ??」
飼い主さん「・・・そう言えば、タマゴにアレルギーのある人は、体に蕁麻疹(ジンマシン)が出るって言うよなぁ。でも、なんでタマゴアレルギーが関係あるの??」
獣医さん「まぁ、タマゴは例え話だけどね。『ノミアレルギー性皮膚炎』というからには、ノミにアレルギーなワケさ。」
飼い主さん「ほぉ。」
獣医さん「ノミにアレルギーって言ったって、ノミが体をモゾモゾ動いているだけじゃぁアレルギーは起こらないんだよ。」
飼い主さん「ふ〜ん。」
獣医さん「ノミが血を吸う時に唾液を出すんだよ。その唾液が太郎の体に入ってアレルギー反応を起こす。体がアレルギー反応を起こすとノミの場合背筋に出やすいって言うワケなんだよ。」
飼い主さん「なーるほど。だからタマゴアレルギーと一緒で、接触したところだけカユイんじゃなくて、体に反応が出るんだ。」
獣医さん「そうなんだよ。」
飼い主さん「そうなんだぁ。で、どうすればいいの??」
獣医さん「ノミをやっつけるワケだけれど、今は首の所に付ける薬(スポット・オン)、飲ませる薬、ノミ取り首輪があるんだよ。」
飼い主さん「うちのはノミ取り首輪、付けてるよ。」
獣医さん「これってさぁ、いつのヤツ??」
飼い主さん「さぁて、もう1年くらいかなぁ。。。説明書には『3ヶ月位効きます』って書いてあったんだけど、『付けてりゃぁ、ちょっとはマシかなぁ』なんて思って付けてたんだよ。」
獣医さん「あー、、、それなんだよ、それ。」
飼い主さん「へ??」
獣医さん「最初のうちは、薬が効いてノミがバタバタ死ぬんだよ。ところが、薬が薄くなってきて、気絶するだけで死なないノミが出てくる。ノミも『種の保存』に必死だから、気絶したノミの子孫はその薬に『抵抗力』を持つようになる。すると、新しいノミ取り首輪を付けても全然平気なノミが出てくる。そうするうちに『ノミ取り首輪が効かない』ノミが多くなってくる。だから『新しいノミ取り首輪を付けても効かない』状況になっちゃうんだよ。」
飼い主さん「ほぉ〜。」
獣医さん「少しでも効く薬が長く使えるようにするには、使用期限を守って使うことが大切なんだよ。それでなくても『薬に耐えられるノミ』がいずれ出てくるんだからさ。」
飼い主さん「そっか、じゃぁ私も耐えられるノミを作り出していた方なんだ。。。」
獣医さん「まぁ、そう言えなくもないなぁ。。。10年前に発売されたノミ取り首輪は当初、付けたらバタバタ診察台にノミが落ちるくらい効いたんだよ。でも今は。。。ねぇ。」
飼い主さん「じゃぁ、その首に垂らすヤツとか、飲むヤツとかでノミを何とかしてよ。」
獣医さん「了解。」
という訳で太郎の痒みはなくなりました。どうです、『たかがノミ、されどノミ』でしょ?!
今度はゴールデン・レトリバーのロベルトが来ました。何やらホッペがジュクジュクして毛が抜けています。飼い主さんは『円形脱毛症』じゃないかと言っているのが聞こえます。さてさて、これも夏場に多い皮膚病です。診てみましょう。
飼い主さん「先生、大変なんです。今日、ブラッシングしていたら、突然毛がゴゾッと抜けてジュクジュクしているんです。円形脱毛症でしょうか?? 昨日までは何ともなかったんですけど。。。」
獣医さん「まぁまぁ、検査してみましょう。」
ペタペタと皮膚病の所にスライドグラスを当てて、顕微鏡を見ていた獣医さんが戻ってきました。
獣医さん「ひどい炎症ですねぇ。症状と検査からすると、夏季急性湿疹、いわゆるホットスポットというヤツですねぇ。」
飼い主さん「夏季急性湿疹?? ホットスポット??」
獣医さん「ある日突然、ゴソッと毛が抜けて、ジュクジュクした皮膚炎が現れるのが特徴です。夏場に急に起きることが多い皮膚炎だからこう呼ばれているんですよ。」
飼い主さん「ふ〜ん。」
獣医さん「これは何らかの刺激、例えばシャンプーとかノミなどが原因で、急性のアレルギー反応が局所で起きてできるんですよ。で、最初は毛に隠されていてよく分からないんだけど、段々そこの毛がいつも濡れているように見える、ブラッシングしたり、本人が掻いたりするとゴソッと抜けて円形脱毛のように見えて、飼い主さんが病院に連れてくるって言うことになるんですよ。」
飼い主さん「そうなんだぁ。じゃぁ、ここに毛はまた生えてくるんですか?」
獣医さん「生えてきますよ。ジュクジュクが治って2ヶ月もすると分からなくなりますよ。」
飼い主さん「あー良かった。」
獣医さん「この皮膚炎はゴールデンによく診られるんです。特に泳いだり、水遊びの好きな子は特に多いですよ。それからシャンプーした後はよく乾かしてあげてくださいね。こう言うと熱風のドライヤーで乾かす飼い主さんがいるんですけど、あまり熱いと皮膚によくありませんから、ぬるめの温風で時間をかけて乾かしてあげて下さい。」
ロベルトはバリカンで皮膚炎の周りをきれいにしてもらって、消毒用の薬と飲み薬を持って帰りました。2ヶ月後にフィラリアの薬を取りに来たときにはきれいになっていました。
今回は皮膚病について書いてみました。
ひとくちメモ−フィラリア予防
昨年の秋、フィラリア予防の注射剤が出ました。これは1回の注射で6ヶ月間予防できる薬です。日本の北と南では大幅にフィラリア予防シーズンが違いますから、一概に何月から何月まで予防すればいいと言う事はできませんが、おおざっぱに言うと「蚊が出始めて1ヶ月後から、蚊が出終わって1ヶ月後まで予防する」と考えれば良いと思います。どの予防法でも効果自体は全く変わらないと言って良いでしょう。ですから、方法は飼い主さん達が決めることになります。参考までに考えられる組み合わせを書いておきましょう。
1) 半年毎に注射する−「忘れっぽい」「面倒くさい」と思っている飼い主さん向け。寒い地域では1回で十分なところもあるようです。
2)
注射1回と足りない分は飲み薬−「ちょっと忘れっぽい」「ちょっと面倒くさい」と思っている飼い主さん向け。足りない分は地域によって違います。シーズン前のフィラリア検査をお忘れなく。
3)
飲み薬−「去年と同じで良い」「フィラリアの薬を喜んで食べてくれる」「慣れている」など、去年と同じ方法でも何ら問題ありません。飲ませる前のフィラリア検査をお忘れなく。
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