エッセイ
2000年10月11日


入院日記


 僕、前回、紹介してもらったジョンの友達、シーズーの太郎。
 いつも身体を掻いていたので、ジョンに「病院に行ったら?」って勧められてたんだけど、うちの父さんと母さん、いつも忙しくて連れて行ってもらえなかったんだ。ある日、父さんと散歩に出たときの事、いつものようにいつもの電柱でオシッコしようとした。ん? 「で・な・い」。父さん「お?太郎出ないのか?」。ちょっと気張ってみたら痛い。それでもオシッコしたかったから、思い切り気張ったら、今日のオシッコは赤かった。。。赤いオシッコを見た父さん、ビックリして僕を引っ張って動物病院に行ったんだ。これが事の始まり。

ジョンが、どこかの雑誌に記事を書いたって言ってたから、僕も書いてみた。題して、「太郎の入院日記」。エヘッ。

10月1日
 父さんと待合室で待っていた。すごくオシッコしたかったんだけど出ない。台の上に乗せられて、ジョンから聞いて知っていた「棒」をお尻に入れられた。白い上着の「先生」や身体から赤い水を取る「注射器」についてもジョンから聞いてて予習済み。ひとつだけ聞いていなかったのは、冷たいジェルをつけて、骨みたいな形をした硬い物をお腹に当てられたこと。「エコー」って言ってたっけ。でも最初に「先生」が言ってたけど、「太郎ちゃん痒かっただろうね。」って言いながら、父さんのことにらんでた。父さん思わず苦笑い。その「エコー」ってやつで、身体の中が見えるらしい。「う〜ん、膀胱に石があるようですねぇ。」って「先生」。僕はビックリして、「石なんか食べないよぉ。」って言いたかったけど、どうやらそうじゃないらしい。「入院ですねぇ。。。」「げ!入院なんてヤダよ!父さぁ〜ん!」って叫んでみたけど、父さん寂しそうにひとりで出ていった。看護婦さんが来て、「太郎ちゃん、レントゲン撮るからね。」って言ってたけど、「れんとげん?」って分からなかった。冷たい台の上に乗せられて、「ピッ。」って音がした。全然痛くなかった。黒い絵を見・u毆)
ながら、「先生」が看護婦さんに言った。「手術だな。」僕には良く分からなかったけど、これもジョンから聞いていた「入院室」に入ることになった。ジョンは一階だったらしいけど、僕は二階。一階に比べるとちょっと狭かったけど、僕はジョンより小さいから、けっこう快適だった。でも相変わらずオシッコがしたかった。たくさんの仲間が、出たり入ったりした後、僕は台の上に乗せられた。なんか「先生」、チューブを持っている。おもむろに僕のチンチンにチューブを入れはじめた。最初はそうでもなかったんだけど、入っていく途中で激痛が走ったので、思わず「ワン!」って言ったら、「我慢!」って言われた。激痛の後、オシッコがチューブから出てきた。真っ赤だった。でも、気持ちよくオシッコできた。夜は気持ちよく眠れた。

10月2日
 みんな朝ご飯を食べているのに、僕だけ朝ご飯がない。
 またオシッコが出ない。台の上に乗せられたので、昨日の激痛を思い出した。でも「先生」、チューブを持っていない。そのかわり「注射器」を持っていた。「赤い水」を取るのかなと思ったら、透明な液体を僕の身体に入れていた。その後、気持ちよくなって良く覚えてない。寝たような気がする。
 気がつくと目が回っている。ジョンに聞いた「貧血」だと思ったけど、ちょっと違うみたい。何気なくチンチンを見ると、チューブが入っていた。真っ赤なオシッコ。お腹もちょっと痛い。お腹を見ると、身体から「糸」が出てた。何か変だった。
 食べる気もなかったし、晩ご飯もなかったし。「いいや。」と思いながら、とりあえず寝た。

10月3日
 チンチンからチューブを抜いた。水を一杯飲んだ。だって、ノドが乾いたんだもん。
 今日は朝ご飯が出た。病院のご飯にしては結構いけた。でもちょっと薬臭かった。
 午後になって、父さんと母さんがお見舞いに来てくれた。「太郎!」って声をそろえて呼んでくれた。すごく嬉しかった。父さん、母さんと一緒に散歩に行った。オシッコしたくなったから、何気に足をあげてみると、気持ち良くオシッコできた。全然痛くなかったし、赤いオシッコでもなかった。病院に帰って、「石」を見せてもらった。結構大きかった。父さんと母さん、ビックリしてたっけ。

 その後、病院で3回ずつ晩ご飯と朝ご飯を食べた後、家に戻った。帰りがけ、父さんの手には新しい「ご飯」があった。家に帰って食べてみたら、病院で食べていた「ご飯」と一緒だった。僕は、あまり食にこだわらない。「このご飯でも大丈夫。」って思った。

 今日も父さんと散歩に行く。
 いつものように、いつもの電柱で気持ち良くオシッコできる幸せを噛みしめながら。

注:太郎は前回「僕の貧血」を書いたジョンの友達。散歩でよく話すらしい。

<診察した獣医さんからのコメント>
 太郎ちゃんには、大きな「膀胱結石」と小さな「結石」が「尿道」に詰まってました。だからオシッコが出辛く、気張ってオシッコしてみたら、「赤いオシッコ:血尿」になってしまったんでしょう。取った「結石」を検査してみると、「ストルバイト」っていう成分でした。膀胱の中の「結石」が大きかったので、手術をして取り出しました。一口に「結石」と言っても、太郎で取り出した「ストルバイト」をはじめ、「シュウ酸カルシウム」「尿酸アンモニウム」「シスチン」、またこれらの成分が組み合わさったものまで数多くあります。中には、レントゲンで写らない結石もあるんですよ。太郎には「処方食」と言う「結石」のできにくくなる食事を食べてもらうようにしました。「結石」によって食べてもらう処方食の種類も違うんですよ。
 あぁ、それから太郎は、皮膚病もありました。「脂漏症」って言う体質で、「マラセチア性皮膚炎」を起こしていました。この「マラセチア」っていうのは「酵母菌」の一種で、とっても痒いみたいです。この皮膚病に効く薬は少なくて、値段が高いんですが、太郎ちゃんのお父さんに言ってみたら、「頑張ります。」との事だったので、処方しました。ちゃんと薬を飲むと良くなりますが、特に梅雨シーズンになると再発することが多い皮膚病です。